ゲーム会社では、ゲームを作るにあたっての仕事は大きく分けると3つと言われています。
(ゲームプランナー・プログラマー・デザイナーのことを言います)
が、もう少し細かくみると職種はもっとたくさんありまして、その中の一つに進行管理という職種もあります。
ゲームプランナーほど多くはありませんが、時々転職サイトの求人にも出現するこの進行管理という職種。
名前からなんとなく想像はつくものの、一体どんな仕事内容なのか分からないですよね。
本来やる予定は無かったんですが、ちょっとした事情で無理やり進行管理をさせられた経験のある僕。
ここに断言しましょう。
進行管理ってむちゃくちゃ辛いです。
この記事でわかること
- 進行管理の仕事内容
- 進行管理で必要なスキル
- 進行管理に向いてる人
この記事では、これからゲーム業界を目指してみたい人だったり、転職しようと思ってる人、他にもいまゲーム会社で働いているけど進行管理が何の仕事をしてるかわからない人のために説明していきますね。
先に言っておくと、もし未経験で進行管理を目指している人がいるなら、辛すぎワロタなのでおすすめできません。。涙
進行管理の仕事内容とは
進行管理のお仕事その1:クリエイティブ職のスケジュール管理
まず、クリエイティブ職とは何なのか。
僕のいた会社では、進行管理が付くのはイラストレーターとシナリオライターの2職でした。
ゲームプランナーやデザイナー(UI)はチームリーダー、プログラマーはエンジニアが合わせてやっているようなイメージです。

と言いたくなるところですが、ものづくりに集中してもらうために敢えてそういった仕事を外しているんですね。
クリエイティブ系に進行管理が付くのはゲーム業界だけではなく、デザイン会社などでも進行管理がいることはよくあります。
で、肝心の詳しい仕事内容ですが、ソシャゲはご存知の通りすごい高頻度でイベントが開催されてますよね。
毎週なにかしたらのイベント告知がされ、夏なら水着キャラ、クリスマスならサンタコスのキャラなどが出てきます。
そのイベントのキャラクターやストーリーを作成するにあたって、リリースの数ヶ月前からメンバーの業務内容を把握し、リリース予定日に無事リリースできるようにスケジュールを組んであげることが進行管理の仕事です。
わかりやすく&極端に言うと、学校の先生が1学期の終業式の日、夏休み中に夏休みの宿題を終わらせるための計画表をクラスメイト全員に配るようなイメージです。この通りやったら2学期が迎えられるから7月中に読書感想文終わらせて、お盆までに自由研究終わらせて…みたいな。
が、夏休みの宿題と仕事で違うところがあります。
それは、一人でやるか他人とやるかというところ。
夏休みの宿題は自分一人でやるものなので、別に計画より遅れてしまっても最悪2学期の始業式の日に全部終わっていれば問題ないですよね。
でも、仕事はそうはいきません。
なぜなら、仕事は他人と進めていくものだからです。
一人の仕事が遅れれば、全体のスケジュールに影響して、最悪リリースが延期になることもあるわけですね。
そして、特にそれが疑われる(遅れが出やすい)のがクリエイティブ職…というわけなんです。
進行管理になると、リリースまで業務の計画表を作成し、その通りに仕事が進んでいるかを毎日細かく進捗確認する必要があります。(もはや学校の先生…)
進行管理のお仕事その2:大型イベントや企画などのマイルストーン決め
まず、
マイルストーンって何や
って思いますよね。
マイルストーンについてわかりやすい説明があったので、紹介しますね👇👇
マイルストーンとは、物事の進捗を管理するために途中で設ける節目をいう。もとは道路などに置かれ、距離を表示する標識(里程標)のこと。商品開発やシステム開発など、長期間にわたるプロジェクトなどでいわれることが多い。 各マイルストーンは最終的な到達点に向かうまでの通過点であり、それぞれの時点で達成すべき事柄(達成要件)と、実際の状況を照らし合わせることで進度の調整を行う。日付で指定されるほか、イベントや行事をマイルストーンとすることもある。
引用元:コトバンク
つまり、進行管理が作る計画表での節目のこと。
ちなみに、「マイルストーンを引く」みたいな使い方します。意識高い系の言葉です。
マイルストーンを夏休みの宿題計画表で言うと、7月31日に数学の問題集を終わらせ、8月8日までに国語の問題集を終わらせる…みたいな、一つ一つの節目のことです。
大型のイベントや他社とのコラボレーション案件では、いつものイベントや開発物よりも関わる人数や企業が増えるので、こういったマイルストーンを引くことが超重要です。
なので、進行管理だけではなくゲームプロデューサーやディレクター、案件によっては会社の役員とミーティングしてマイルストーン引きをすることがあります。
進行管理のお仕事その3:自分で時間管理できないメンバーのサポート
今から心を鬼にして言いますね。。
悲しきかな、クリエイティブ系の仕事をしている人達は納期を守りません。
いや、全員が全員ってわけじゃ無いんですけど、本当に守らない人が多い…そして、優秀であればあるほど守りません。。
(優秀=クオリティが求められる人ので、まぁ当然っちゃあ当然なんですが)
時々漫画やアニメで、漫画家が編集担当から締め切りに追われて逃げてる…みたいなキャラがいますが、あれは実在します。
というか、あの辺はまだ全然許せるレベルでして、遅れたことを隠し続ける人とかも平気でいます。
普通、社会人って1年目にまず自分の仕事を管理できるように教育や指導されることが多いのですが、クリエイティブ系の人たちはそういった教育をされてきていないんですよね。
いきなり実践する仕事なので、当然といえば当然です。
育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ的なスタンスで受け入れないと、進行管理の精神は崩壊します。笑
元々別の職種で、後からイラストレーターやシナリオライターになった人は比較的納期を守るよう頑張る人が多いんですが、根っからのクリエイターたちは…はい。
自分で時間管理できない人が多いです。
なので、それをお手伝いしてあげるのが進行管理の仕事の一つです。
(僕、絵師でもあるので、両方の立場の意見がわかって辛いです)
進行管理のお仕事その4:嫌われる
上司は嫌われるのが仕事…なんて言いますが、進行管理は嫌われるのが仕事です。
これは世の常であり、どうあがいても抗えない運命です。
仕事が遅れている人に対して、



みたいなこと聞きまくるので、普通に嫌われます。むちゃくちゃ嫌われます。
もはや嫌われるのが仕事みたいなところがあるので、嫌われても全然OK!むしろ人をつつくの大好き!みたいな人は向いてる…かもしれません。
実際働いて、進行管理に必要なものが分かった
他人に嫌われても平気なメンタル
さっきも少し話ましたが、他人に嫌われても大丈夫だと言う強靭なメンタルが必要です。
ただでさえ遅れていて気が立っている人に仕事はまだか?と聞くおしごとなので、もうそれは嫌われます。
え、私進行管理だけど全然嫌われてないよ?っていうひとは
- 裏でむっちゃ嫌われてる
- メンバーが仏様みたいに優しい人たち
間違いなくこののどちらかです。
何度も言いますが、この仕事は嫌われます。笑
とは言っても、イベントが終わった後には結果感謝されることが多いので、ただただ嫌われるということもなく…なんとも複雑な気持ちです。。
業務内容の把握
進行管理の場合、自分の仕事だけを把握しておけばいい…みたいな考えだと仕事ができないんですね。
というのも、先ほどから何度も例に出している夏休みの宿題の計画表、あれって先生側からすると、数学の問題集はどれぐらいで終わるのか、読書感想文は何日あれば終わるのか…みたいなところを把握しておかないと計画表が破綻しますよね。
それと同じで、進行管理は自分のチームメンバーが一つの仕事に掛ける時間や、他のチームにどう影響を与えるのか…みたいなところを細かく把握していないといけないので、メンバーに寄り添って仕事内容を正しく理解しなければいけないんです。
嫌われるのに寄り添わないといけない、なんとも複雑な仕事です。。
現場メンバーからの信頼
現場メンバーから信頼がないと、自分が引いたマイルストーン通りにメンバーは仕事をしてくれません。
先生のことを信頼していたら言うことを聞くけれど、嫌いな先生の言うことは聞かないのと同じです。
あと、仕事が遅れてることってやっぱり結構言いにくいことなんですよね。
進行管理=上司というわけではありませんが、やっぱり上司に仕事のネガティブな報告をするのって誰でも嫌じゃないですか。
なんで、話しかけやすい雰囲気を常に出さないといけないですし、怒らないからなんでも言ってね精神で居ないと仕事が成り立ちません。
進行管理に向いてる人ってこんな人
コミュ力の化け物
進行管理に必要なスキルは
- 話しかけやすい雰囲気
- 機嫌の悪い人にも果敢に攻め入る勇気
- キツいことを優しく言い換える発想力
…つまり、コミュニケーション能力なんですね。
クリエイターを相手にする仕事ということもあり、ちょっとやそっとのコミュ力ではなく、コミュ力の化け物と呼ばれるような人こそ進行管理に向いてるでしょう。
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="R1" icon="goma1.jpg" name="転職希望者"]業界に入りたいけど未経験だから誰でもできそうな進行管理やろっかな〜[/speech_bubble]
なんて考えで仕事をすると…恐らくメンタルやられちゃいますね。笑
それぐらい大変なお仕事です。
優しくない人
根っからの優しい人は進行管理ができません。
ここで言う優しさとは、他人に甘いかどうか…です。
よく、仕事が遅れている人は進行管理に対してスケジュールの変更の相談をすることがありますが、ここでもし進行管理が優しい(他人に甘い)場合、スケジュールを後ろ倒ししちゃうんですね。
え、でも他の人に迷惑が掛からないんだったら後ろ倒ししても全然大丈夫なのでは?
と思うかもしれませんが、答えはNoです。
そもそもスケジュールを引いた段階で他人(他のチームだったり、企業だったり)に迷惑を掛けないようにスケジュールを組んでいるので、その時は特に影響がないように見えても、間違いなく後ろのスケジュール全てに悪影響がでます。
なので、進行管理は甘い人にはできません。
クリエイターからの
「明日までにしてほしいんですけど…」
というお願いに対して、
「ダメです。なんとしてでも今日中に仕上げてください」
と強めに言える人でないと仕事として成り立たないんです。
デッドライン(絶対に超えてはいけない締め切りのことで、本来これより余裕を持ってマイルストーンを引く)を隠して、締め切りを伸ばす(フリをする)…という技もありますが、デッドラインは賢いクリエイターなら普通に把握しているので、あんまり意味ないですね。
まめな人
毎日メンバーの仕事をしっかり把握して全て管理する必要があるので、まめな人じゃないと進行管理はできません。
大雑把な人が進行管理をやるとスケジュールが破綻してしまうので、もし未経験で進行管理を目指す場合は最低でも自分が決めたスケジュールは完璧にこなせるぐらいのまめさが無いと難しいですね。
それに、進行管理をしている人自体が時間管理ができない…なんてことになったらメンバーからの信頼はなくなりますので、これもまた仕事が破綻します。笑
進行管理に興味がある人へ
進行管理になるには
普通に求人サイトで応募するか、転職エージェントに任せるで大丈夫です。進行管理は慢性的に人手不足なのもあり、業界未経験でも入りやすい職種ではありますが、過去に似たような仕事をしている人でないと採用は難しいですね。
未経験で進行管理をしたい場合は、素直にエージェントに任せましょう。
ゲームプランナーなどと違って企業が直接求人を出しているケースもレアなので、転職サイトを使わないとそもそも応募自体が難しいですし、未経験で進行管理を目指して自分で直接企業に売り込んでも、間違いなく落とされます。(僕は落としてた)
どうやってキャリア積んでいくの?
進行管理ができるようになると、
- マネジメント能力
- 他人の業務内容や仕事に掛かる時間の把握
- コミュ力
が身につきます。
これ、チームリーダーを目指すにはむちゃくちゃ大事な要素なので、ある意味昇進しやすい職種であると言えます。
ただし、開発費や売り上げなど、数字に関する業務とは無縁になるのでディレクターやプロデューサーを目指すのであればちょっと回り道になりますね。
ゲームプランナーからディレクターになって、最後プロデューサーになる…というのが王道です。
まとめ|進行管理をするなら覚悟が必要
他人に依存する仕事なので、結構暇に見えたりもします。
暇に見えるので、メンバーから不審に思われることも多々あります。。。
それでも無事にリリースできた時なんかは一番感謝されますし、辛い分、身につくスキルは本当にすごいです。
実際に進行管理もしつつリーダーになった僕からすると、普通マネジメント能力とかって上司にならないと身につかないので、チームリーダーやらマネージャーやら、管理職を目指すなら進行管理をするのはおすすめです。
いい経験になりますよ。
僕ですか?
………もうやりたくない(´;ω;`)ブワッ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。