この記事は、ゲーム業界で働きたいけれど周囲の人に「ゲーム業界はやめとけ」と言われてどうしようか悩んでいる人に向けての記事です。
筆者はゲーム業界に20代から在籍しており、現在も変わらずゲームを作り続けています。
結論からいうと、ゲーム業界は業務内容の割に、給与水準が低い業界です。
かつて業界全体が劣悪な労働環境であったため、そのイメージがまだ業界内外全体に色濃く残っているのも事実です。
ですが、好きなことを仕事にしたい、という人にとってはこれ以上ない楽園であるのも事実です。
また、現在労働環境に大幅な見直しが行われているため、漫画やアニメで見るような「何日も徹夜しなければいけない」といった過酷な業務はよほどの企業でない限りありません。
更に、ゲーム業界は未経験からでも、力をつけて数年で自身のタイトルを持てる可能性がある世界です。
このように、ゲーム業界には良い部分と悪い部分があり、一概にこう!とは言い辛いのがリアルです。
大切なのは、業界で働く際のメリットとデメリットをきちんと納得した上で、自分がどうしたいのか、を選択することが大切です。
今回は、それらを細かく紹介していきます。
また、記事後半ではゲーム業界で働きたい!という人におすすめの転職方法も紹介しているので、気になる方はぜひ最後まで目を通してみてください。
なぜゲーム業界はやめとけと言われているのか
「ゲームが仕事になるなんて良いイメージしかないけれど、なぜやめとけと言われるのか?」と思う方に向けて、その理由を3つに絞り解説していきます。
ブラック企業が多い
全ての企業が当てはまるわけではありませんが、やはりブラック企業が多いです。
ブラック企業の定義は人によって様々ですが、ワークライフバランスの観点からみると、仕事と趣味が混同しがちな為、健全なワークライフバランスは確保し辛いのが事実です。
労働時間については、現在国の制度である働き方改革のため長時間労働ができないようになっているため、時間にのみ限って言えばホワイト化が進んでいる状態です。
慢性的な人手不足
ゲームを制作できる人間が少ないため、どの企業も年間を通して人手不足です。
また、2020年からは国内で在宅する人が増えたため、ゲームの需要が更に高まったことも人手不足の要因です。
各社が常に求人を出しているのが、何よりの証拠といえます。
また、この業界は年収アップのために短期間で転職する人が非常に多く、この風習が更に人手不足に拍車が掛けています。(ただし、数年も働くと各社に知り合いがいるような状況になります。これは逆に自身が転職しやすくなるというメリットでもあります)
年収が上がりづらい(企業による)
特にコンシューマーソフトの制作会社に多いのですが、会社自体が古いため、給与形態が時代に追いついていない場合が殆どです。あるいは、時代に追いつこうとしているものの、急に大幅な変更はできないため、徐々に時代に追いつこうとしている最中の会社も多く見受けられます。
ゲーム業界で働く人たちは、大幅な昇給を狙う際、転職を考えます。
プロジェクト単位で移動する人も多いため業界全体に転職にネガティブなイメージがあまりありません。そのため、転職する人が多く、その結果が離職率の高さに紐付いています。

ゲーム業界で働くメリット
ここまでなぜゲーム業界はやめとけ、と言われるのかを紹介してきました。
実際、デメリットを聞くと、「働きたかったけどやめたほうがいいのかな」と思う方もいると思います。
ですが、そうではありません。
筆者自身、この業界で働き続けていますし、確かに転職する人は多いですが、業界自体を去る人は少ない印象です。何より、デメリット以上にメリットがあります。
それぞれを解説していきます。
ゲーム好きには天国
ゲームが仕事なので、デスクでゲームをしていても何も怒られません。
業界の研究のためにゲーム実況やアニメを観ることもありますし、机には自分の好きなキャラクターが並べる人が多いです。
働く人はジャンルこそ違えどゲーム好きな人やアニメ好きな人が多いので、自身の趣味を打ち明けてオープンに働ける、というメリットがあります。
好きなことを仕事にできる
仕事もゲームの話をするため、自分の趣味を活かしやすいというメリットがあります。
業務に必要な検定はありませんし、制作部署は営業のようなノルマもありません。(少なくとも筆者は制作にノルマを課せるような企業を聞いたことがありません)
いかにゲームを知っているか、ということが重宝されるため、ゲーム好きの人にとっては非常に有利な環境だといえます。
スキルが身に付く
生涯雇用が当たり前の時代は終わり、今の時代、どの業界のどんな大手企業で働いていても、リストラや突然の事業解体の可能性はあります。日本の景気も悪くなってきているため、会社は社員を定年まで守ることができず、「自分のことは自分でどうにかしてくれ」という状態です。
そういった社会全体の風潮から、手に職を持つ人が強い時代になってきています。
更に大手企業でも副業を解禁する流れがあり、スキルの有無による経済的格差は拡がりつつあります。
しかし、ゲーム業界では一般的な会社では身に付けることができないスキルを身につけることができます。
最初は専門性の薄いゲームプランナーであったとしても、業務の一貫でシナリオ制作を行うようになり、シナリオライターとしてフリーで生活している人、サウンドディレクターとして独立した人なども多く、様々なスキルを身につけることができるのが大きな魅力だと言えます。
業界全体でスキルを共有する風潮もあるため、講習やWEB勉強会などが開かれるのもゲーム業界の面白いポイントです。
(ただし、これらは強制されないため、常日頃から自ら学ぶという心構えが大切です)
スキルがある人間は転職も容易ですし、高収入が見込めます。
そのため、手に職をつけたい人にとっては非常におすすめの業界です。

時間の融通が効きやすい(フレックス・リモート等)
最近ではゲーム業界に限らずどの業界もフレックスやリモートが増えてきています。
その先駆けはゲーム業界と言われていて、実際筆者も数年前からリモートやフレックスを経験してきました。
特にソーシャルゲームの制作・運営会社ではこの状況になる前の日本でも出社しない日が多々ある会社が多く存在していました。
他の業界よりもフレックスやリモートのノウハウが溜まっているため、時間の融通が効きやすいというのは今も変わらずゲーム業界でくメリットといえるでしょう。
よくある質問と回答
ここまで、ゲーム業界のデメリットとメリットをそれぞれ紹介してきました。
ここからは、実際に寄せられたり、よく耳にする質問と、その回答を紹介していきます。
回答は私自身、業界で働く人間によるものですので、リアルを知りたい方はぜひご一読ください。
知り合いに「ゲーム業界はやめとけ」と言われたのですが…
ゲーム業界は慢性的な人手不足で業務量が多いにも関わらず、年収が高くなりづらい傾向があるためです。
また、東京ゲームショウなどのイベントやソーシャルゲームの運営におけるトラブル対応などの不定期な仕事もあるため、ワークライフバランスの観点から「ゲーム業界はやめとけ」といわれることが多いです。
ブラック企業を見極める方法は?
- 口コミサイトを確認する
- 転職エージェントを使って企業のリアルを知る
- 直近の事業業績をチェックする
といった方法で目指す企業がブラック企業かどうかを判断することができます。
口コミサイトは辞めた人間が「なぜ辞めたのか」を記載していることが多いため、ネガティブな意見が多く見受けられますが、自分にとってそれはデメリットなのかどうかを考えてみるでとよいでしょう。
(例えば、「好きな仕事はできるが給料が安くて辞めた」という口コミがあったとしても、あなたが「例え給料が安くても自分の好きなことでストレスフリーに働きたい」という場合、その会社はあなたにとってブラック企業ではないといえます)
自分がゲーム業界に向いているのか知る方法は?
好きなことを仕事にしたい、朝はゆっくりしたい、やるべきことをしておけば何も言われない、という働き方が良い方はゲーム業界に向いているでしょう。
何より、ゲームが好きな人であればどんな人でもゲーム業界で働くことができるので、業界そのものが自分に向いているかどうかを深く考えるのではなく、目指す企業と自分の相性を知ることが大切です。
本気で働きたいのだが、どうすればいい?
本気でゲーム業界で働きたい人に向けて、記事を書きました。
記事内では、実際にゲーム会社で働く筆者が、ゲーム業界のリアルを全て詰め込んでいます。
未経験でゲーム業界に入るのは難しい?採用されるために必要なスキルとポイントとは
筆者は採用の経験もあるので、人事・現場それぞれの観点からどういった人が採用されるのか、というのを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ:ゲーム業界のリアルを知ることで、転職すべきかどうかが分かる
周りから「やめとけ」といわれて立ち止まり、一旦冷静に考えるということは非常に大切なことです。
特に転職は、今後の人生に関わる大きなアクションなので、慎重になるべきです。
その上で、ゲーム業界で働きたいと思うのであれば、ぜひ挑戦してみては如何でしょうか。
ゲームが好き、好きなことを仕事にしたい、と考えているのであればおすすめできる業界です。
大切なのは、業界ではなく企業とあなたとの相性だということをぜひ念頭に置いて、行動してみてください。
おすすめの転職エージェントは以下で紹介しています。気になる方は合わせてチェックしてみてください。