ゲーム業界

ゲーム業界に転職したい人が知っておくべき、誰も教えてくれない業界のリアル

この記事を読んでいる人は、ゲーム業界が気になっているけれど、ネットには良い噂も悪い噂も転がっているから、実際はどうなんだろう?という方が多いと思います。

実際、筆者は他業種からゲーム業界に転職をしたのですが、私が転職活動を行った当時はどこを探してもゲーム業界で働く方法はおろか、実際の業務内容など、必要な情報が見つからずに苦労しました。

というわけで、今回はゲーム業界に転職・就職したい人が知っておくべき情報を紹介していきます。

ゲーム業界が気になるという方や、実際に転職したいけれどどうすればいいか分からない、という方はぜひ最後までご一読ください。

筆者がプランナーや採用担当だった経験を活かし、リアルな情報をお届けしていきます
筆者

ゲーム業界の動向は?現状と今後の紹介

2014年以降のソーシャルゲームの波も一定の落ち着きを見せた2020年、世間はコロナ禍による大きな環境変化を受け、ゲーム業界を取り巻く状況は大きく変化しました。

様々な業界が大きなダメージを受けた中、同タイミングで発売された任天堂社の「あつまれ どうぶつの森」が世代を超えて爆発的なヒット。

更に同時期に20代後半〜30代の青春とも言える「FINAL FANTASY Ⅶ」のPS4リメイクが発売されたこともあり、沈みかけていた業界が息を吹き返しました。

しかし、急速な普及のため、「ゲームを遊びたいが本体がどこにも売っていない」という状況がうまれ、Nintendo Switch本体の高額転売が問題になるなど、2020年はゲーム業界にとって間違いなく一つの大きな起点となりました。

ここからは、そんな状況を踏まえた2021年の現状と、今後ゲーム業界がどうなっていくのかをそれぞれ見ていきましょう。

ゲーム業界の現状

一定の落ち着きを見せてはいるものの、やはり需要はまだまだ高いです。

各社は限られたリソースの中で小中規模の新コンテンツの制作に注力しつつ、既存コンテンツの横展開をしているように見受けられます。

しかしその一方で、東京ゲームショウやE3を始めとする大型プロモーションリアルイベントは、オンラインイベントとして形を残してはいるものの、いずれも集客力が落ちています。

そういった状況が影響し、ゲームは今までの「大型イベントでの告知からの発売」、という流れではなく、ソーシャルメディアを活用した宣伝が活発になっています。

加えて、数年前までは企業にとって存在そのものがグレーゾーンだったゲーム実況者にプロモーションを依頼する企業も増えており、最先端とまではいかないものの、時代に適応しようとしているのが現状です。

ゲーム業界は今後衰退してしまうのか

元々人手不足と言われていたゲーム業界でしたが、2020年からの需要の高まりを今でも受け続けているため、人手不足の状態はこれからも続くため、転職希望の人にとってはチャンスはまだ続きます。

 

その一方で、新規タイトルの開発には莫大なコストと時間を要するため、コロナ禍が続くであろう今後も各社コンシューマー・ソーシャル共に大型コンテンツの制作リソースを抑えざるを得ない状況です。

つまり、キャッシュとノウハウを持たない企業が新しい大作RPGや超ヒットタイトルを生み出すことが非常に難しく、既存コンテンツの横展開が中心となっていくと予想されます。

業界の動向で考えると、ゲームそのものの需要がなくなることは決してないので衰退はしないこそ、一気に繁栄することも難しいでしょう。

2021年のPS5の発売が注目されましたが、上記の状況に加えてコロナ禍の悪影響で本体そのものの基盤の生産が追いついておらず、世界的にPS5の新規タイトルの普及は難しい状況が続きます。

PS5専用ソフトのゲーム開発には莫大な資金が必要と言われているため、国内での専用タイトルリリースは当分先となるでしょう。

Vtuberがゲーム業界に与えた影響

一見関係ないようにも見えますが、業界の現状を把握するためにVtuberを知ることは必要不可欠なため、紹介します。

ゲーム業界は、元々ゲーム実況やゲーム配信について、制作側からその存在に触れることはありませんでした。(任天堂がニコニコ動画内で許諾を出したのは随分と昔の話ですが、他各社公式が配信を許可するようになったのはここ数年の話です)

そんな状況の中、Vtuberという新コンテンツが登場。しばらくした後にコロナ禍で「リモートの片手間に配信を見る」という人が増え、Vtuberが広く認知されるようになりました。

その結果、現在ライト層のゲーム認知は「遊ぶもの」から「見るもの」へと変化を遂げており、各社新規顧客の獲得に頭を悩ませていることが増えつつあります。

そのため、もしゲーム業界で働きたいのであれば、部署は制作であっても新規顧客獲得のためのマーケティングのスキルが重宝されます。

また、VtuberはPCゲームを配信しているケースが多く、中でもフォートナイトやAPEX LEGENDSといったバトルロイヤル系のゲームの爆発的ヒットが続いていますが、国内で同ジャンルのゲームを制作できるリソースを持つ企業は限られている(サーバー確保や運営を考慮すると0)ため、超大手を除いた国内メーカーにとっては向かい風となっています。

ゲーム会社の種類

転職で入社する場合、ゲーム会社は事業別にジャンルが分類されます。

転職や就職を目指す際、ゲーム会社に種類があることを正しく理解し、「最終的に自分はどこにで働きたいのか」という軸を持つことが大事です。

というわけで、ここからはゲーム会社の種類を3つ紹介していきます。

パブリッシャー

コンシューマーゲームは一般的にパブリッシャーとデベロッパーに分かれていて、企画・販売(流通)・展開を行うのがパブリッシャーです。

パブリッシャーは基本的にゲームを企画・監修こそするものの、実際に制作することは少なく、その代わりにデベロッパーと呼ばれる開発会社がゲームを制作します。(アーケード含)

大手企業の場合は、デベロッパーとパブリッシャー両方の側面を持つケースもありますが、大手企業でも開発はデベロッパーが担当することが多く、自社開発を行うコンシューマーゲームメーカーはごく僅かです。

基本的には実務経験が必要とされており、未経験で入社する難易度はデベロッパーに比べて非常に高いです。

ただし、パブリッシャーに入社できると企画の段階からタイトルに関わることができるため「自分の理想のゲーム」が作れるという魅力があります。

また、業界全体が慢性的な人手不足のため、どこかで3年ほど実務経験を積めれば今この瞬間は未経験でもいずれ大手会社で働くチャンスが誰にでもある、というのが特徴と言えます。

デベロッパー

販売を行うパブリッシャーとは反対に、実際にゲームを制作するのがデベロッパーです。

世間一般では開発会社と言われています。

パブリッシャーに比べて一手不足のため、ゲームクリエイターになりたいという業界未経験者が転職できる可能性が高いのが特徴です。

専門学校と提携しているデベロッパーも多く、学校を卒業したゲームプランナーの多くは開発会社に就職している印象です。

(パブリッシャーの採用人数が少ないことも要因です)

デベロッパーは、ゲームに携わりたい!という人はもちろん、実際にゲームを作りたい!という人にはおすすめできます。

ただし、パブリッシャーからの業務依頼が多いため、自分オリジナルのゲームを作りたい!という人にとってはあくまで実務経験を付けてパブリッシャーにキャリアアップするための通過点となるケースが多いです。

ソーシャル運営

ソーシャルゲームは、発売したら一定の区切りを迎えるコンシューマーソフトとは違って常に動き続けるコンテンツのため、人による運営が必要になります。

ソーシャルゲームが世に普及し始めた2010年代は開発と運営を同時に行う企業が数多く存在していましたが、現在では開発(企画)と運営を分けている企業が非常に多く見受けられます。

ソーシャル関連の企業は業界に入りやすいにも関わらず、ソーシャルゲームのレベルデザイン(難易度設計)やイベント企画など、ゲーム制作や運営の基礎を学ぶことが可能ます。

ただし、企業によってはゲームアプリの運営以外も同時に行っている場合があり、(可能性は低いものの)部署移動などで自分がゲームに携われなくなる可能性があります。

職種別の仕事内容

ここからは、ゲーム業界における職種と、その仕事内容を紹介していきます。

職種名(肩書き)は同じでも会社によって業務が大きく異なるため、職種名は一般的なものだけ紹介して、今回は「どんな仕事内容なのか」を中心に分かりやすく解説していきます。

余談ですが、「ゲームクリエイター」とは、今回紹介する職種を総称するもので誰を指しているか曖昧なため、業界ではあまり聞かない単語です。就職活動の際に気を付けましょう
筆者

企画

  • プランナー
  • ディレクター
  • プロデューサー
  • シナリオライター

と呼ばれる人たちが当てはまります。業界未経験の場合、まずはプランナーからのスタートが殆どです。

ゲーム業界の何でも屋と呼ばれており、特別な知識が不要なため誰でもなることができますが、その代わりにコミュニケーション能力・理屈と感覚のバランス力など、目に見えないスキルが強く求められます。

(本来シナリオライターは専門職ですが、世界観設定をはじめ様々な企画に携わることも多いため、企画職に区分しています)

これさえできれば大丈夫!というものはない代わりに、あらゆることをできなければいけません。しかし、過去に遊んだゲームが企画に直結することも多く、ゲームが好きな人には非常におすすめの職種です。

グラフィック

  • デザイナー(2D・3D)
  • イラストレーター
  • アートディレクター

と呼ばれている職種です。専門的なスキルが必要なため、入社するには実務レベルのスキルが求められます。

デベロッパーの場合、3Dのスキルが求められることも多いのですが、そもそも3Dのスキルを持つデザイナーは非常に希少なため、どの企業でも重宝されるのが特徴です。

また、パブリッシャー・デベロッパーではなく外部の制作会社に所属するケースも多いのが特徴です。

長期的なスパンで考えるなら、3Dモデルのモーションを触ることができたり、映像制作ができると市場価値が高くなるため就職や転職もプランナーに比べて容易で、スキルがあるため独立しやすい(フリーランスとしてゲーム会社から業務受注)のも特徴です。

 

エンジニア

  • エンジニア
  • テクニカルディレクター
  • リードエンジニア(リーダー)

プログラミングスキルを活かして実際にゲームを作る職種です。基本的には、企画が用意した仕様書に沿ってコードを入力しゲーム制作を進めていきます。

エンジンを作成したりハードウェアを開発するケースもありますが、かなりの能力が求められるため、上下幅が広い職業ともいえます。

テクニカルディレクターやリードエンジニアは自身のプログラミングスキルに加え、エンジニアを取りまとめたりスケジュール工数を洗い出して日程を調整したりするコミュニケーション力が求められるため、上位職は専門的な知識の他に対人間力が必要です。

サウンド

  • サウンドディレクター
  • サウンドデザイナー
  • コンポーザー

音に関わる全ての業務を担当します。楽曲やBGMの制作・SE(効果音)の作成など、音を作る仕事の他に、納品されたトラック(音源)の調整やマスタリングを行うケースもあります。

スタジオでエンジニアとして経験を積んで就職するケース・学校から就職するケースなど様々ですが、全般的にいえるのは他の職種に比べて絶対数が少ない(企業に所属するサウンドアーティストは数が非常に少ない)、就職の難易度が高いということです。

音楽以外にも、音響会社から納品される声優のボイスデータを管理することもありますが、基盤が整っていて専門的な知識や環境が不要な場合はエンジニアやプランナーが兼任する場合があります。

テスト(デバッガー)

バグはないか、想定された挙動通りにゲームが動くかをテストする、いわゆるデバッガーと呼ばれている職種です。

自社にデバッガーを在中させる企業もありますが、タイトルが大きくなればなるほどデバッガーの人数が必要なため、外注する場合がほとんどです。

そのため、最近はデバッグ専門会社として、パブリッシャーやデベロッパーからの依頼でデバッグを行う企業も増えてきました。

括りとしてはゲーム業界ですし、採用される可能性も非常に高いのですが、自由度がほぼ0なのでゲームを作りたい人にはおすすめしません。

(個人的な感覚ですが、デバッガーからプランナーになれます!と謳っている企業はほぼブラック企業なので注意が必要です)

転職や就職の際、デバッガーの経験は実務経験にカウントされないことが殆どのため、ゲームを作りたいのであればデバッガーではなくプランナーを目指しましょう。

その他

  • ・制作進行管理
  • ・プロモーション
  • ・カスタマーサポート

ここまで紹介してきたもの以外にも様々な職種があります。(もちろんゲーム会社でも営業や経理・人事といった一般的な職種もあります)

パブリッシャーがデベロッパーや運営会社にライセンスアウト(自社のゲーム権利を他社に貸すこと)する際の窓口になったり、グッズ展開をマネジメントする職種もあります。

ゲームが作りたいわけではないが、ゲームに関わる仕事がしたい!という方にはおすすめです。

ちなみに、制作進行管理は専門職のタイムマネジメントを行う職種なので、専門職に対する一定の知識があれば未経験でも採用されやすい職種です。

ゲーム業界に転職するには?

ここまでゲーム業界についての様々な情報を紹介してきました。

ここからは、実際にゲーム業界で働くにはどうすれば良いのか悩んでいる人に向けて、ゲーム業界に転職する方法を3つ紹介していきます。

実際に働いている知り合いに紹介してもらう

今ゲーム会社で働いている人に紹介されて採用されるケースです。

コネがないと難しいのですが、逆にコネがあるとどんな方法よりも簡単に入社することが可能です。(内輪なケースが多い)

知り合いの家族・知り合いの友人…など、直接知り合いではなくても紹介というだけで入社しやすいのが特徴です。

コスト削減の意味も込めて、求人を出していないケースが多いですね
筆者

企業から直接スカウトを受ける

企業から直接「うちで働いてほしい」と誘われるケースがこれです。(ダイレクトオファーともいう)

このケースはスカウト型の転職支援サービスを使うか、知り合いの紹介のケースが多いです。

別の業界から採用されることも多いのですが、非公開案件のことがほとんどですね
筆者

自ら求人に応募する【一般的】

紹介やスカウトは採用されやすいのですが、もともとのコネや実績が必要で、非公開案件のことがほとんどです。

そのため、実際は自ら求人に応募するケースが最も一般的で、求人数も非常に多いです。

自ら応募するといっても方法は様々で、

  • 企業のサイトに直接応募する
  • 転職サイトから申し込む
  • 転職エージェントを使う

といったように、応募には種類があります。

ゲーム業界に転職したい人のよくある質問と回答

ここからは、ゲーム業界で働いている筆者がネットでよく見かけたり、実際に転職を希望しているという人たちから何度かいただいた質問を紹介していきます。

※リアルな情報をお伝えしたいため、少し厳しい回答になるケースもありますが、ご了承ください。

求められるスキルとは?

一概に言えませんが、コミュニケーション能力があればなんとかなります。

一つ注意点として、誰とでも仲良くなれるスキル=コミュニケーション能力ではありません。

 

ゲーム業界に求められるコミュニケーション能力とは、「相手の意図を理解して汲み取る」ことです。

一般的な企業よりも癖のある人が多いため、「相手が何を言っているのか理解する」という力は非常に重要で、一般的に面接で重要視されるポイントともいえます。

転職回数が多いというのは事実か

事実です。他の業界に比べ、転職回数が多い人が多いのがゲーム業界の特徴です。

それには理由があり、

  • プロジェクト(タイトル)単位で移動するケースが多い
  • 給与形態が古い企業が多く、長年在籍していても年収が上がりづらい
  • 業界全体に「辞めても転職できる」というゆるい雰囲気が漂っている

といった理由が挙げられます。

ブラック企業ばかりというのは事実か

全てがブラックではありません、しかし、多いのは事実です。

特にデベロッパーや運営会社など自社以外に左右される企業にブラックな場所が多く、転職する場合は注意がその企業がブラックではないか見定めることが重要です。

とはいえ働き方改革のおかげで業界全体に健全化を目指す雰囲気がありますし、今の世の中なにか問題があればすぐに炎上することは企業側も理解しているため、以前に比べると救いようのないブラック企業はかなり減りました。

未経験でも働くことは可能か

可能です。どの求人をみても実務経験3年以上が条件になっているように思うかもしれませんが、誰でも最初は未経験ですし、僕も未経験で中途採用されました。

ただし、闇雲に転職活動をしていては絶対に内定はもらえません。

未経験には未経験専用の転職活動の方法があります。

30代が業界で働くためには

実務経験が無くとも、ゲーム業界で働く前の業界のスキルや知識を活かすことができれば問題なく転職することができます。

ただし、他の業界と比べて20代が多いため、周りが歳下ばかりになる可能性があります。上司が歳下のケースもあるため、そういった人間関係に苦手意識のある方はエージェントに内情を聞くなどして、慎重に転職活動を行いましょう。

まとめ:転職を成功させるには最新の知識が重要

ここまで、ゲーム業界で働くために必要な情報を紹介していきました。

好きなゲームが仕事になる、というのは他の仕事では味わえない幸せがありますが、その分辛いことがあるのも事実です。

どんな業界でも良い部分と悪い部分があります
筆者

 

理想の転職を実現させるためには、業界を詳しく知り、自分が本当にゲーム業界で働くべきかどうかを判断できるようにならなければいけません。

なんだかんだ言って、ゲーム業界で働くのは楽しいし、興味がある方にはかなりおすすめできる仕事です!
筆者

 

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