ゲーム業界

【中の人が語る】本当にゲーム業界は衰退したのか?その理由と日本の将来性について

ここ最近、日本のゲーム業界は20年前に比べると衰退したと言われることが増えています。

確かに90~00年代はプレイステーションの登場、更に任天堂の躍進により日本では空前のゲームヒットが起きたものの、近年は娯楽の多様化・海外から有名ゲームメーカー参入などの要因もあって日本のゲーム業界は衰退したようにも見えます。

しかし、数字を見る限りでは日本のゲーム業界は衰退しているとは言えず、むしろ成長産業の一つであるとも言えます。

筆者は実際にゲーム業界で働いていますが、日本のゲーム業界は衰退したとは思わず、今大きな分岐点を迎えているように感じます。

 

というわけで、今回は日本のゲーム業界が衰退したと思われる主な理由、そして世界市場を見つつ、今後日本はどうなっていくのか…という点を解説していきます。

ゲーム業界について知りたい方、業界で働く人間の生の声を聞きたい方はぜひ最後までお付き合いください。

日本のゲーム業界が衰退したと言われる理由

日本のゲーム業界が衰退したと言われるのには様々な要因とは一体何なのでしょうか。

よく言われているのは、「日本のゲームは昔に比べて面白くなくなった」というものです。

面白くなくなった…というのはなんとも曖昧ですが、その要因はいたってシンプルです。

ゲーム業界が衰退した要因

  • 求められるレベルが高くなった
  • 開発費の高騰
  • インゲームの崩壊

これらが「面白くなくなった」ことの要因だと考えられます。

一つずつ解説していきます。

求められるレベルが高くなっている

昔のゲーム作りは、16bitのドット空間の中で如何に面白いものを作るか、という点に焦点が当てられていました。

しかし今のゲームにそういった制約はありません。

現在は各プラットフォームが持つスペックによって多少の影響はあれど、これまでのハードウェアの進化と合わせて、ゲームソフトも年々面白さを追求した結果自由度の高いゲームが日々作られてきました。

また、日本では面白いと思われるゲームが「画質の良いゲーム」であった時代がありました。

これはスクウェア・エニックスのファイナルファンタジー7のポリゴン化・10のリアルに寄せたグラフィックの登場が最も躊躇であると言えます。

革新的なグラフィック進化を遂げたソフトの登場を筆頭に、日本では「高画質なゲームを出せば売れる」とされてきた結果、求められるものがインゲーム性では無くなりました。

その結果、面白いものよりも綺麗なゲームが売れるようになり、インゲーム性は求められずゲームが面白くなくなった、といえます。

開発費を抑えることが困難

先述した日本特有の売れるゲームを作るためには、莫大な開発コストが掛かります。

開発コストを掛けて綺麗なゲームを作れば売れる、という時代は確かにありました。

こういった状態になると、既に成熟したメーカーであれば開発費を掛けてゲーム制作を行うことができますが、一般メーカーや新規参入の壁が高くなり、そもそも売れるゲームを作ることができなくなります。

ヒットタイトルを持つメーカーによる売れるゲーム作りのための開発コストはどんどんと膨らみ、そうでない企業は売れるゲームを作ることができない…この二極化が激しくなり、日本ではインゲーム性に伴わない莫大な開発コストが掛かるようになってしまいました。

 

分かりやすく言うと、面白くないものに莫大なお金を使ってゲームを作り続けた結果、本当に面白いものを作ることができなくなったということですね
筆者

ソシャゲ・スマホアプリの登場

ソーシャルゲーム・スマホアプリの登場によって、日本のゲーム業界は大きく変動を遂げました。

スマホで遊べるゲームはこれまでのCS機でのゲームとは違い、インゲーム性を重視しない「ガチャ」を使った独自のマネタイズ方式が採用されました。

つまり、面白いゲームではなく、いかにユーザーにガチャを回してもらい、タイトルの売り上げを高くするか…ということを考えたゲームが現れ始めた…ということです
筆者

これにより、ガチャが回るゲーム=人気のゲーム…という方程式が出来上がってしまい、ゲームの面白さを無視したゲームが世の中に溢れかえりました。

この考えが数年続いた結果、ゲーム=スマホで課金するものという考えが広く根付いてしまい、コンシューマーメーカーも生き残る為に既存のIPを使ったスマホアプリを大量生産するような状態になりました。

実際、既にコンシューマーで人気のタイトルは似たようなアプリが複数リリースされていたりしますよね
筆者

そうしたことで、ゲームシステムに拘った面白いゲームの登場が更に難しくなりました。

任天堂がスマホアプリに参入し、ガチャシステムを採用したときは業界内で大きな話題になりました
筆者

日本のゲーム業界の現状

ここまで、日本のゲーム業界が衰退したと言われる主な理由を紹介してきました。

では実際、現在日本のゲーム業界の現状はどうなっているのでしょうか?

ここからは、日本のゲーム業界を取り巻く現状を解説していきます。

ビッグタイトルのインディーズタイトルの2極化が進んでいる

先ほど開発費が高騰した結果、ヒットタイトルを持つ大手メーカー以外の参入が厳しくなった…と紹介していきました。

実際にSONYのプレイステーションをハードにするソフトはほぼ全てが莫大な開発コストを要しており、タイトルを制作する企業は今現在かなり限られています。

 

しかし、その反面でインディーズタイトルが普及し始めたことは良い傾向にあると言えます。

ゲーム業界の低迷期を支えた、東方Projectを筆頭とした個人クリエイターの存在、Nintendo Switchの爆発的な普及とインディーズタイトルリリースの簡易化による参入障壁が低くなりました。

これは日本のゲーム業界を支えることになった良い傾向だと言えます。

※元々任天堂ハードは開発コストが低く、Nintendo DSの時代は開発コストを抑えながら面白いゲームが頻出したという名残があります

マネタイズが課金とIP展開になりゲームそのものでの収益回収が困難

過去の日本はゲームソフトのローンチで開発費を回収できていましたが、今現在、日々高騰し続ける開発費をゲームソフトの売上だけで回収することは実質不可能です。

そのため、多くの企業がコンシューマーよりも開発費が掛からないソーシャルゲームを同時開発し、課金マネタイズを行う、アニメ化・グッズ化・各所とのコラボなどによる多角的なIP展開に力を入れて長期的なスパンでゲーム開発費を回収する、といった状態になっています。

知名度の向上は最終的には売上に繋がる為、ソーシャルゲームやIP展開が決して悪いこととは言えません。しかし、1タイトルの発売だけで売上が上がらないことがほぼ確定している今の状況で、リスクを掛けてゲームを制作しようという企業が減っているという問題はあります。

趣味や娯楽の多様化に追いついていない

日本で爆発的にゲームが流行った時代(90~00年代)は、娯楽が今よりも限られていました。

娯楽といえば、テレビ・ゲーム・音楽が主力でした。

これは、「オフラインで限定的な場所や時間で楽しむものが主流であった」とも言えます。

しかし、今ではYouTubeの登場やサブスクリプションサービスの開始など、「いつでもどこでも誰でも楽しめる」娯楽が増えています。

更に、今までの娯楽は「受け取るもの」でしたが、インターネットの爆発的な普及により娯楽は「与えるもの」に変化しつつあります。

今は一般人でもYouTubeで番組を持ち、オンラインでゲーム実況を行うような時代ですから、娯楽は多様化し続けていますね。
筆者

日本のゲーム業界はこの世界的な娯楽のトレンドから完全に取り残されており、海外では「与えるゲーム・共有するゲーム」が普及し続けている状態にもかかわらず、日本は未だに「メーカーの用意したものをオフラインで行うゲーム」が多い状態です。

ソーシャルゲームが日本のゲーム業界に与えた影響

ソーシャルゲームの登場により、日本のゲーム業界は大きく変わりました。

筆者は実際にソーシャルゲームを開発・制作していた経験もあるため、一概にソーシャルゲームやスマホアプリの普及が日本のゲーム業界をダメにしたとは思いませんが、悪く言われることが多いのも事実。

ここからは、実際にソーシャルゲームやスマホアプリが日本のゲーム業界にどのような影響を与えたのか、解説していきます。

ソーシャルゲーム・スマホアプリによりインゲーム性は壊滅

ソーシャルゲームやスマホアプリはゲームシステムの中心が課金となっているため、ゲームの根底にある思想は「いかに面白いと感じてもらえるか」ではなく「いかに課金しようと思ってもらえるか」というものになっています。

ガチャのSSR演出、胸が高まりますよね。一度出ると次に出るまで諦めきれないような気分になる方も非常に多いと思います。

しかし、それがゲーム制作側の目的であり、ソーシャルゲームを市場が拡大してきた最大の理由です。ガチャはギャンブルと同じなのです。

このことから、インゲーム性が求められなくなり、面白いゲームが世に出なくなってきた、という状況が生まれました。

ソーシャルゲーム・スマホアプリの好調さから、ゲーム業界の規模は年々拡大している

面白いもの=良いもの、とは一概に決めつけることはできません。

なぜなら、ソーシャルゲームやスマホアプリは年々市場が拡大しており、需要がかなり高いからです。

この市場拡大はゲーム業界を支える大きな基盤となっており、今現在の日本のゲーム業界はソーシャルゲームやスマホアプリが支えているとも言えます。

売れている=求められているということなので、今の日本では面白さとは別のものが求められているということですね
筆者

ソーシャルゲームはコンシューマーと同じ道を辿っている

根底にあるビジネス色はコンシューマーに比べてソーシャルゲームの方が強いものの、

  • 新規メーカーの大量参入(企業立ち上げ)と大量撤退
  • 開発費の高騰
  • 外側ではなく中身が求められてきている

といった点から、ソーシャルゲームは今後コンシューマーゲームと同じ道を辿るでしょう。

今後のソーシャルゲームは市場の拡大と共にヒットタイトルを持つ企業による独占市場となり、その反対面を資本の無い企業や個人制作によるインディーズタイトルが支えていく2極化が進むと予想されます。

e-Sportsが日本のゲーム業界を支えるか?

アジアでは、現在e-Sportsが非常に盛り上がりを見せています。

特に中国と韓国でその動きは顕著であり、ネットの世界を除くと中国は莫大な人口の中にいる潜在ユーザー数の多さから、韓国では国家レベルでの動きがあることか、らe-Sportsが如何に盛り上がりを見せているのか、を垣間見ることができます。

では、日本は実際にどうなのでしょうか?

詳しく解説していきます。

ここ数年で発展してきたものの、柱となるにはまだまだ途上段階である

ここ数年で国内でも広く発展してきたe-Sportsですが、残念ながら日本のゲーム業界を支える柱となるにはまだまだ力不足です。

e-Sportsの該当タイトルはPCゲームであることが多く、PCの購入はハードウェアの購入に比べてハードルがかなり高いことがそもそもの問題として挙げられます。

また、e-Sports選手を抱えるプロチームや大会運営を行う関連会社もまだまだ若い企業が多く、基盤を整えるにはまだもう少し時間が掛かります。

選手達のリテラシー強化も含め、日本の娯楽となるには少し時間を要するでしょう。

そもそもなぜアジアでe-Sportsで発展して、日本が発展していないのか

敷居の高さは先ほど触れましたが、e-Sportsそのものの印象が日本はそこまで良くありません。

実態がわからないものへの不信感と、ゲーム=良くないもの・不健康なもの、というイメージが強い日本では一般的になるまでにかなりの長期間を要することになります。

類似した問題で、「YouTuberに対する印象」というものが挙げられます。

今でこそ一般的になりつつあるYouTuberという職業ですが、ほんの数年前まではその不透明さや某有名YouTuberが挙げたフレーズ「好きなことで生きていく」ということが日本の古くからの働く価値観に反しているということもあり、怪しい職業だという印象を強く持たれていました。

e-Sportsが抱える印象の問題はこのYouTuber問題と非常に似ています。

加えてe-Sportsの場合は元より世間から持たれているゲームへの負の印象が強いため、一般普及には更なる時間を要することになります。

制作側から見るゲーム業界の未来

ここまで、日本のゲーム業界がなぜ衰退したと言われているのか、そして今どうなっているのか、を解説してきました。

ここからは、実際にゲームを制作する筆者が、どうすれば日本のゲーム業界を明るくしていくことができるのか、について語らせていただきます。

JRPGは過去の栄光であると再認識する

日本が誇るゲームジャンルの一つにJRPGがあります。

これはジャパニーズロールプレイングゲームの略称であり、いわゆるファイナルファンタジーやテイルズシリーズといった大作RPGがこれらに当てはまります。

業界で働きながらユーザーの声を聞いていると、やはり日本のゲームといえばRPGだ、という声が多く寄せられます。

しかし、昨今の世界を取り巻く状況を考えると、JRPGに力を入れることは業界が衰退したと思われる風評を加速させてしまうことになりかねないと筆者は感じています。

今現在、新型コロナウィルスの影響で自粛が求められる世の中で人々はゲームをするようになりました。

しかし、ゲームを出せば売れる、というような状況では決してなく、売れているゲームは「他者との繋がりを感じることができるもの」に限られています。

どうぶつの森はフレンドやネットの知り合いと交流することができますし、配信プラットフォームで人気のゲームはFPSや人狼ジャンルなど、誰かと一緒にやるゲームばかりです
筆者

現在の世の中では、ゲームの中に他者との繋がりを求められていることは間違いなく、一人で黙々と長時間プレイするRPGでは世の中のニーズを満たすことができないことから、RPGを出せば良い、という思考を変えていく必要があります。

売れたものを真似して作る、という文化を辞める

何か一つヒットタイトルが出れば、類似したタイトルが大量に出る現象があります。

この現象に名前こそ付いていませんが、有名タイトルが出た2~3年後は得にこれが顕著です。

2.3年後に似たようなゲームが出るのは開発期間によるものですね
筆者

売れたものを真似していく…これは制作側からするとリスクヘッジをしっかりと行った堅実なビジネスでありますが、革新的なものが全く生まれない状況とも言えます。

現に、現在の流行ゲームや新しい話題タイトルはほぼ全てが海外製のタイトルであり、新規タイトルで10万本を超えたヒットコンテンツは、残念ながら手で数える程しかありません。

最近だと、マルチプラットフォームの天穂のサクナヒメ、PS4の十三機兵防衛圏あたりが新規タイトルの成功例と言えます
筆者

この風習を変えていくことで、日本のゲーム業界は新しい方向へ進んでいくでしょう。

ゲーム業界全体で、健全な働き方を考えていく

ゲーム業界そのものがゲームについての考え方を変えていく必要がある中で、どうしても避けて通れないのが健全とは言えない労働環境です。

数年前までどの企業も良い噂を聞かなかった働き方ですが、Nintendoの超ホワイト化が普及し始めたことと、国全体の施策として行われている働き方改革でブラックな働き方をする企業はかなり減っています。

そして、現在のリモートワークのスタイル。

リモートでもゲーム制作ができることがゲームの良い点と言えますが、どうしても制作時間やコストは抑えなければいけず、開発リソースは減少し、ゲームの制作は難しくなったと言えます。

しかし、健全化されてきていることに変わりはありません。

ゲーム業界は広くで言うとITに括られることもありますが、働き方そのものはITの名にふさわしいとは言えません。かなりアナログな部分が多いのです。

働き方を見つめ直すことで優秀な人材を留めるor外の業界から連れてくることができれば、また海外との提携や優秀な人材の海外流出を抑えることができれば、日本のゲーム制作は大きな変化が起こると予想されます。

まとめ|ゲーム業界は衰退したと思われているが、実際は成長産業である

今回は、日本のゲーム業界は衰退したのか?という点から、市場拡大の観点から見ると将来性は高いです。

課題が多い日本のゲーム業界ですが、今の日本国内の状況や世界のトレンドなどを吸収し、そこに日本の良いエンタメ文化を取り入れることでまだまだゲームは盛り上がりを見せるでしょう。

 

また、ゲーム業界は働きたいという求職者が多い反面、実務経験を求める企業ばかりという歪な状況が出来上がっています。

こういった状況は年々改善されていて、ゲーム業界に優秀な人材を入れるために未経験の人材を多く採用する企業も増えてきました。

ゲーム業界で実際に働いてみたいという方は、ぜひ今の日本のゲーム業界に何が起こっているのか、を「今売れているゲームはどんなゲームなのか」「これからどうなっていくのか」などの様々な観点から考えてみるのも面白いかもしれません。

 

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